アルピーヌが2024年6月30日、ブランド初の電気自動車(EV)となるホットハッチ アルピーヌ A290を発表しました。この新型モデルは、アルピーヌが掲げる「ドリームガレージ」構想の第一弾として位置付けられており、ブランドの新たな時代の幕開けを告げる重要な一台。A290は、アルピーヌの伝統的な3つの柱である「パフォーマンス」「アジリティ」「軽量化」を電気自動車の時代に継承しつつ、フランスのサヴォワールフェールを体現した一台として開発されました。欧州でのA290の価格は約650万円(38,000ユーロ)から。A290は2024年末までに欧州で発売予定となっています。A290の日本での販売は検討中としており、導入される可能性は高いと想定されます。

車の概要:アルピーヌ A290とは?
アルピーヌ A290 (Alpine A290)は、ブランドの象徴的モデルであるA110のDNAを受け継ぎながら、都市型スポーツカーとして新たに開発されたハッチバックタイプのEVです。2024年に世界初披露されました。全長3,990mm、全幅1,820mm、全高1,520mmというコンパクトなボディサイズながら、5ドア5シートの実用性を備えています。アルピーヌの歴史を振り返ると、1955年にジャン・レデレによってブランドが創設されて以来、軽量かつ高性能な車づくりを追求してきました。A290は、この伝統を電気自動車の時代に継承する重要なモデルとなります。パワートレインには、180馬力または220馬力の電気モーターを搭載。52kWhのバッテリーを採用し、WLTPモードで約380kmの航続距離を実現(認証前の暫定値)。最高出力220馬力のバージョンでは、0-100km/h加速を6.4秒で達成し、セグメントトップクラスのパフォーマンスを誇ります。A290は、アルピーヌのエンジニアリングチームの専門知識を結集し、電気自動車ならではの特性を活かしながら、A110に匹敵する俊敏性、コントロール性、操作の容易さ、精密さを実現しています。これにより、初心者からベテランドライバーまで、幅広いユーザーに刺激的な運転体験を提供することを目指しています。

アルピーヌ A290のエクステリアデザイン
新型アルピーヌA290のエクステリアデザインは、コンパクトなボディに力強さと躍動感を与えることに成功しています。コンパクトなサイズながら、60mm拡大されたトレッドにより、マッスルカーのような存在感を放っています。
フロントフェイスは、アルピーヌの伝統を受け継ぐ4灯式ヘッドライトが特徴的です。X字型のモチーフを取り入れたヘッドライトは、ラリーカーを彷彿とさせるデザインとなっています。オーナーが近づくと、ウェルカムアニメーションを自動的に表示する機能も備えています。

サイドビューでは、ワイドなフェンダーやサイドスカートが目を引きます。サイドスカートには、洗練された印象を与えるボディ同色のエッジが施されています。ルーフエッジはアルミニウム製で、一部のグレードではアノダイズドブルーが標準装備されます。Cピラーにはオプションでフランス国旗を配置することができ、ナショナリティを主張しています。

リアエンドは、テールゲートに設けられた「ダックテール」が特徴的です。大型スポイラーを避けることで、空力性能を損なわずにスポーティな印象を演出しています。リアバンパーにはディフューザーを装備し、高速走行時の安定性向上に寄与しています。

ホイールは19インチの専用アルミホイールが標準装備され、2種類のデザインが用意されています。「アイコニック」デザインはアルピーヌA310のホイールを参考にしたもので、「スノーフレーク」デザインはアルピーヌの由来である雪をモチーフにしています。ブレーキキャリパーはA110と同じBrembo製4ピストンモノブロックタイプで、レーシングレッドまたはアルピーヌブルーが選択可能です。

ボディカラーは4色が用意され、新色のアルピーヌビジョンブルーは、光の当たり方によって表情を変える深みのある色調となっています。
アルピーヌA290のエクステリアデザインは、コンパクトなボディに力強さとスポーティさを凝縮し、電気自動車時代におけるホットハッチの新たな姿を提示しています。
アルピーヌA290のボディサイズ
アルピーヌA290のサイズは、全長 3,990mm、全幅 1,820mm、全高 1,520mmです。
アルピーヌ A290のインテリアデザイン
新型アルピーヌA290のインテリアデザインは、スポーティさと高級感を兼ね備えた独特の雰囲気を醸し出しています。
コックピットは、アルピーヌブランドの世界観を表現するディープブルーのトーンを基調としています。ドライバー中心の設計で、助手席側にはバックライトで車名が表示される視覚的な演出が施されています。さらに、調整可能なアンビエントライトがコックピットの雰囲気を引き立てています。

ステアリングホイールは、スポーツカーらしい3本スポークデザインを採用し、中央部が平らになっているのが特徴です。ナッパレザーで覆われ、スポーティな印象を強調するためのパイピングが施されています。グリップ性を高めるために太めのリムを採用しています。ステアリングホイールには、F1レーシングからインスピレーションを得た複数のアルミニウムボタンが配置されています。左側には回生ブレーキのレベルを設定するRCH(リチャージ)ダイヤル、右側には各種ドライビングモードを切り替えるボタン、そして上部には目を引く赤いOV(オーバーテイク)ボタンがあります。これらに加えて、運転支援システム、電話、音声アシスタント、インストルメントディスプレイモードの操作ボタンも備えています。

スポーツペダルとフットレストが、A290のスポーティなドライビングポジションの人間工学を完成させています。10.1インチのセンターディスプレイはドライバーの方向に傾けられており、物理的なエアコン操作ボタンは視線を外さずに調整できるよう配置されています。
センターコンソールは、アルピーヌA110のアイコニックなデザインからインスピレーションを得ており、RNDトランスミッションコントロールを内蔵しています。センターアームレストには車名が刻印され、キースロットには「スノーフレーク」グレインが施され、コンソール全体が最高級のナッパレザーで覆われるなど、細部にまでこだわりが感じられます。

シートは、スポーツカーの重要な要素として入念に設計されています。サイドサポートを強化して体をしっかりと支えながら、日常的な快適性も損なわないよう配慮されています。環境に配慮した素材を使用し、サステナビリティへの取り組みを示しています。エントリーグレードでは、グレインコーテッドファブリック(15%リサイクルプラスチックと麻繊維)とディープブルーの100%リサイクル素材を組み合わせたファブリックを採用し、シリカグレーのコントラストステッチと電気溶接された矢印型の「A」ロゴがバックレスト上部に配されています。

上位グレードのGTプレミアムとGTSでは、シート、ダッシュボード、ドアパネルがディープブルーとイーヴィーグレーのナッパレザーで覆われています。レザーヘッドレストにはAlpineの文字が浮き彫りにされ、バックレストの中央部分にはA290の刺繍が施されています。
アルピーヌ A290の走行性能
新型アルピーヌA290の走行性能は、電気自動車ならではの特性を活かしつつ、ブランドの伝統であるスポーティな走りを実現しています。
パワートレインには、グレードに応じて2種類のモーターが用意されています。ベースグレードとGTプレミアムには最高出力180馬力、最大トルク285Nmのモーターが、GTパフォーマンスとGTSには最高出力220馬力、最大トルク300Nmのモーターが搭載されます。最高出力220馬力のバージョンでは、0-100km/h加速を6.4秒で達成し、セグメントトップクラスのパフォーマンスを誇ります。WLTPモードの航続距離は約380kmとなっています。

A290の特徴的な機能として、ステアリングホイールに設置された「OV(オーバーテイク)」ボタンがあります。このボタンを押すと、最大10秒間の追加パワーが得られ、瞬時の加速力を体験できます。F1レーシングからインスピレーションを得たこの機能は、スポーツドライビングの興奮を高めます。
電気モーターの特性である高いトルク(300Nm)を効果的に制御するため、アルピーンのエンジニアたちは「Alpine Torque Technology(アルピーヌ トルク テクノロジー)」と呼ばれる洗練されたトルク管理システムを開発しました。これにより、最適なトルクの配分を細かく調整し、トラクションを最大化しています。A290のアクセルレスポンスは、高い出力とトルクを容易にコントロールできるよう調整されています。アルピーヌのエンジニアリングチームは、急激な加速よりも滑らかで漸進的な加速感を重視しており、これにより運転の楽しさと性能の両立を図っています。

サスペンションには、リアにマルチリンク式を採用し、ハイドロリックバンプストップを装備することで、高い運動性能と乗り心地の両立を実現しています。また、専用設計のアンチロールバーやブレンボ製ブレーキの採用により、コーナリング性能と制動性能の向上を図っています。
さらに、A290には複数のドライビングモードが用意されており、ノーマルモードでは安定性と制御性を重視し、スポーツモードではより積極的な走りを楽しむことができます。また、完全に電子制御を解除することも可能で、熟練ドライバーはより自由なドライビングを楽しむことができます。アルピーヌA290は、電気自動車の特性を活かしながら、ブランドの伝統であるスポーティな走りと日常的な使いやすさを高次元で両立させた、新時代のホットハッチとして期待されています。
アルピーヌ A290の価格
新型アルピーヌA290の欧州での価格は約650万円(38,000ユーロ)からスタートする予定です。これは、同じプラットフォームを使用するルノー5の予想価格の約390万円(27,000ユーロ)と比較すると、かなり高価格帯に位置することになります。
日本での正確な価格設定はまだ決定されていません。

アルピーヌ A290の発売時期
新型アルピーヌ A290は欧州市場で、2024年の夏頃にオーダー受付を開始し、同年末までに発売(ローンチ)される予定です。一部の情報源では、2025年から納車が開始されるとも報じられています。
アルピーヌ A290は日本で発売される?
アルピーヌ・ジャポンは、アルピーヌ A290の日本での販売を検討中であることを公表しています。ただし、具体的な導入時期や日本での価格(仕様)は現時点では未定となっています。アルピーヌ・ジャポンによると、これらの詳細は本国での発売後に決定される見込みです。日本市場への導入に関しては、ブランド初の電気自動車であるA290が、アルピーヌの新たな時代を象徴する重要なモデルとして位置づけられていることから、前向きに検討されているようです。

アルピーヌ A290の辛口評価
新型アルピーヌA290をあえて辛口で評価します。
まず、価格面での懸念があります。欧州での予想価格は38,000ユーロ(約650万円)からとされており、同じプラットフォームを使用するルノー5の予想価格27,000ユーロ(約390万円)と比較すると、かなり高価格帯に位置することになります。この価格差が、潜在的な購買層にとって障壁となる可能性があります。
また、航続距離については、WLTPモードで約380kmとされていますが、これは同クラスの電気自動車としては必ずしも突出した数字ではありません。スポーツ走行を楽しむユーザーにとっては、より長い航続距離が望まれるかもしれません。
さらに、アルピーヌブランドの知名度が比較的低い市場では、既存の人気ブランドとの競争が厳しくなる可能性があります。特に日本市場では、アルピーヌの認知度向上が課題となるでしょう。

アルピーヌ A290のライバル車
新型アルピーヌA290の主なライバル車として、以下のモデルが挙げられます。
- アバルト500e:フィアット500をベースにした電動ホットハッチで、イタリアンテイストのスポーティな走りが特徴です。A290と同様にコンパクトなボディサイズを持ち、都市部での取り回しの良さが魅力です。
- フォルクスワーゲン ID.3 GTX:ID.3のハイパフォーマンスモデルとして登場が予想される電動ホットハッチです。ドイツ車らしい高品質な内装と洗練された走行性能が期待されています。
- キュプラ・ボーン VZ:スペインのスポーツブランド、キュプラによる電動ホットハッチです。VWグループのプラットフォームを使用しながら、独自のスポーティなチューニングが施されています。
- MG4 Xパワー:中国系ブランドMGによる高性能電動ハッチバックで、高出力と手頃な価格が特徴です。急速に成長する中国EVメーカーの実力を示す一台として注目されています。
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