日産自動車は2026年7月16日、プレミアムミニバン「エルグランド」のフルモデルチェンジを発表し、同日から発売を開始しました。2025年秋のジャパンモビリティショー2025で先行公開されていたモデルがいよいよ市販化された形で、日産のフラッグシップミニバンとして久々の刷新となります。今回は第3世代の「e-POWER」と進化した「e-4ORCE」、さらにインテリジェント ダイナミックサスペンションを組み合わせ、快適な乗り心地と走りの愉しさを両立させたことが最大のトピックです。

車の概要:エルグランドとは?
日産 エルグランドは1997年に登場し、広く豪華な室内と本格的な走行性能を兼ね備えた「プレミアムミニバン」というジャンルを日本で最初に確立したモデルです。2002年に2代目、2010年に3代目へと進化を続けながら、いずれもV型6気筒3.5リッターエンジンを搭載し、高級ミニバンの代表格として支持を集めてきました。
今回登場した新型は約16年ぶりの全面刷新となる4代目にあたり、これまでの大排気量V6エンジンから一転、第3世代「e-POWER」と電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を組み合わせた電動パワートレインを採用したことが最大の変化点です。開発コンセプトは乗員全員が長距離移動でも快適に過ごせる「グランドツーリング体験」で、初代から受け継がれる「運転の愉しさ」というDNAをさらに高めることを目指しています。

日産 エルグランドのエクステリアデザイン
新型エルグランドのデザインコンセプトは「The private MAGLEV(リニアモーターカー)」で、リニアなスピード感と威風堂々とした佇まいを融合させ、ジャパンフラッグシップにふさわしい唯一無二の存在感を放っています。現行モデルからボディサイズを拡大したことで、どの角度から見てもシャープなシルエットと踏ん張り感のあるスタンスの良さが際立つデザインに仕上がっています。フロントグリルには日本の伝統工芸「組子」をモチーフとしたパターンを採用し、シグネチャーランプや横一文字のリアコンビランプにも同じ意匠を連続させることで、時を超えて受け継がれる日本らしさを表現した「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」を具現化しています。


軽量化を追求したホイールは、樹脂フィニッシャーを組み合わせることで、アルミホイール単体では表現しきれない日本の伝統工芸的な緻密さを演出しつつ、車両全体で統一感のあるデザインにまとめられています。ボディカラーは全5色をラインアップし、「プリズムホワイト」「至極 -シゴク-」「ダークメタルグレー」「ミッドナイトブラック」のモノトーン4種類に加え、富士山の黎明の一瞬を切り取った自然美を表現する新色「FUJI DAWN -フジドーン-」を新設しました。さらに、「FUJI DAWN」と、日本で古来より高貴さや格式の高さを象徴する色から着想した「至極 -シゴク-」を組み合わせたプレミアム2トーンも用意され、上質感をさらに引き立てています。


なお、日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)が手がけるカスタマイズモデル「AUTECH」では、湘南・茅ヶ崎の海をイメージしたドットパターンのフロントグリルや、波の航跡をモチーフにしたシグネチャーLED、白波をイメージしたメタル調フィニッシュパーツなどが専用装備され、通常モデルとは異なるスポーティな表情を演出しています。ショーファーカー需要に応える「VIP」ではダークメタルグレーのフロントグリルや専用18インチホイール、路面に「ELGRAND VIP」の文字を映し出すウェルカムイルミネーション付きオートステップなど、格式を強調する専用装備が採用されています。
新型エルグランドのボディサイズは、全長4995mm、全幅1895mm、全高1975mm(X e-4ORCE)/1970mm(G e-4ORCE)です。





日産 エルグランドのインテリアデザイン
インテリアは「特別なプライベートラウンジ」のような空間を目指して開発され、アイポイントを高めたことで運転席からの視界が広がっています。ドアトリムにはエクステリアの組子パターンと統一感のあるキルティングを施し、インストルメントパネルには木目調パネルと一体化したシームレスな静電式スイッチを採用しました。センターとメーター両方に国内モデル初となる14.3インチの大画面統合型インターフェースディスプレイを搭載し、さらに最大64色設定可能な間接照明がドアまで連続的につながる仕立てになっています。

シート素材にはテーラーフィット™を使用し、Xグレード向けの「ダーク」に加え、Gグレード向けに「銀雪-ギンセツ-」「紫檀-シタン-」の合計3種類のカラーバリエーションを用意しています。室内スペースは先代から大幅に拡大され、全席にゼログラビティシートを採用、2列目シートは大人でも寝返りができるほどの幅広さを確保し、助手席と2列目左右席の3席で同時にオットマンが使える贅沢な仕様です。2列目はシートバック上部だけをリクライニングできるデュアルリクライニング機構を備え、頭部だけ起こした姿勢でモニターを見られる快適性も魅力です。BOSE®22スピーカープレミアムサウンドシステムを搭載したモデルでは、車内が映画館のような3Dサラウンド空間になります。

使い勝手の面では、Qi2.0規格対応のワイヤレス急速充電器やティッシュボックスを収納できる大容量リヤボックスをセンターコンソールに設定し、100V AC電源(1500W)を3口装備することでアウトドアや非常用電源としても活用できます。荷室は開口地上高を下げつつ開口高さ・幅を拡大し、7名乗車の状態でも機内持ち込みサイズのスーツケースを7個積載できる余裕あるスペースを確保しました。





日産 エルグランドの走行性能
新型の心臓部となる第3世代「e-POWER」は、専用設計で効率を高めた発電特化型エンジン「ZR15DDTe」(直列3気筒1.5リッターターボ、最高出力103kW/140PS)と、モーター・発電機・インバーター・減速機・増速機を一体化した5-in-1「e-POWER」電動ユニットで構成されています。前輪モーター「YM52」は最高出力151kW(205PS)、後輪モーター「MM45」は100kW(136PS)を発揮し、100%モーター駆動によりプレミアムミニバンにふさわしい力強く上質な走りを実現しています。
電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」もさらに進化し、リヤモーターのトルクを積極的に活用することで気持ちの良いコーナリングを実現、モーター出力とブレーキ作動の状態をメーターディスプレイで視覚的に確認できる点も新しい試みです。さらに4輪の減衰力を可変するインテリジェント ダイナミックサスペンションが車体の揺れを抑え、落ち着いた挙動と上質な乗り心地をもたらします。走行シーンに応じて「ECO」「STANDARD」「SPORT」「COMFORT」「SNOW」「PERSONAL」の6つのドライブモードを選択でき、これらが「e-POWER」や「e-4ORCE」、サスペンションの特性を切り替える仕組みです。停止直後の車両の揺れを抑える「スムースストップ」や、エンジン音とロードノイズの両方を低減する世界初のアクティブ・ノイズ・コントロールも、快適性を大きく引き上げています。WLTCモード燃費は16.8km/L(4WD)です。

日産 エルグランドの安全性能・運転支援
先進運転支援システムも大幅に充実しています。高速道路での運転を支援する「プロパイロット」はX e-4ORCEに標準装備、G e-4ORCEには渋滞時ハンズオフや車線変更支援機能付きの「プロパイロット(ナビリンク機能、渋滞時ハンズオフモード、車線変更支援機能付)」が標準となり、Xグレードにはオプション設定、Gグレードには最上位の「プロパイロット2.0」もオプションで選べます。新たに時速50km以下の渋滞時にハンズオフ走行が可能になったほか、ウインカー操作による車線変更支援機能(時速60km以上)も追加されました。
記憶した駐車位置に近づくとステアリングやアクセル、ブレーキなどを自動制御する「プロパイロット パーキング」(メモリー機能付)、先行車に合わせて減速・停止までサポートする「インテリジェント ディスタンスコントロール」も搭載されています。「インテリジェント アラウンドビューモニター」には交差点で死角になりやすい前方左右を見せる「フロントワイドビュー」や、車両周辺を3D映像で確認できる「3Dビュー」機能も加わりました。加えて、衝突回避ステアリングアシストやインテリジェント エマージェンシーブレーキ、踏み間違い衝突防止アシストなど、全車標準の安全装備も充実しています。

日産 エルグランドの価格
日産 エルグランドの価格は689万7000円からです。全国希望小売価格(消費税込み)は、4WD/X e-4ORCEが689万7000円、4WD/G e-4ORCEが757万9000円の2グレード構成となっています。両グレードとも第3世代e-POWERとe-4ORCEを標準装備しており、上位のGグレードではNissanConnectインフォテインメントシステムやプロパイロット(ナビリンク機能、渋滞時ハンズオフモード、車線変更支援機能付)などが標準となる点が価格差の主な要因です。
さらに上質な装備を求める場合はメーカーオプションも用意されており、BOSE®22スピーカープレミアムサウンドシステムやヘッドアップディスプレイ、最上位運転支援の「プロパイロット2.0」などをセットで選択できるため、フル装備にすると価格はさらに上乗せされる形になります。X e-4ORCEにも上位装備をまとめたオプションパッケージが用意されており、グレード間の装備差を後から縮められる点も特徴です。
加えて、NMCから発売されたカスタムカー「AUTECH」「AUTECH LINE」「VIP」「ステップタイプ」はベース車をもとにした専用装備モデルで、AUTECHは2026年8月上旬、その他3モデルは7月16日から全国一斉に発売されています。これらのカスタムモデルは専用のエクステリア・インテリア装備が加わるため、ベース車よりも価格が上乗せされる価格設定となっています。
ライバルであるトヨタ アルファードは、2026年6月の一部改良後の価格帯がハイブリッドGグレードで559万9000円から、上級グレードでは800万円台まで及ぶ幅広い価格設定となっており、エルグランドの2グレードのみのシンプルな構成とは対照的です。


日産 エルグランドの発売時期
新型エルグランドは2026年7月16日に発売されました。ジャパンモビリティショー2025での先行公開から約9カ月を経て、正式に市場投入された形です。
日産 エルグランドは日本で発売されるか
新型エルグランドは日本での発売が最初であり、まずは国内市場向けに展開されるモデルです。プレミアムミニバンとして長年日本市場に根強い人気を持つモデルであり、今回の発表も日本国内向けの正式発売として行われています。
日産 エルグランドを辛口で評価します
新型エルグランドをあえて辛口で評価します。長年のV6エンジンからe-POWERへのパワートレイン変更は静粛性や燃費で優位性を持つ一方、V6が持っていた官能的なサウンドや伝統的な高級車らしい重厚感を好んだユーザーには物足りなさを感じさせる可能性があります。また、Gグレードの上位装備(プロパイロット2.0、BOSEサウンド、後席モニターなど)はオプション設定が多く、フル装備にすると価格が大きく跳ね上がる点も、ライバルのアルファード同様に「実質的な最上級グレードの価格の高さ」が気になるポイントです。デザインも組子モチーフなど和のテイストを強く押し出しているため、好みが分かれる可能性がある点も見逃せません。

日産 エルグランドのライバル車
新型エルグランドの最大のライバルは、長年高級ミニバン市場を席巻してきたトヨタ アルファード・ヴェルファイアです。両車ともプレミアムミニバンという同じカテゴリーに位置しますが、パワートレインや価格帯には明確な違いがあります。アルファードは2026年6月に一部改良を実施し、PHEVグレードの追加やハイブリッドの新グレード設定など商品力を強化したばかりで、エルグランドとはほぼ同時期に市場で真正面から対決する形になります。
| 項目 | 日産 エルグランド(新型) | トヨタ アルファード(2026年6月改良後) |
|---|---|---|
| パワートレイン | 第3世代e-POWER+e-4ORCE(4WD専用) | ガソリン、ハイブリッド(2WD・E-Four)、PHEV |
| 価格帯 | 689万7000円〜757万9000円 | 559万9000円〜800万円台 |
| 発売時期 | 2026年7月16日 | 2023年6月(フルモデルチェンジ)、2026年6月(一部改良) |
| 全長 | 4995mm | 約4995mm前後 |
| 駆動方式 | 4WDのみ | FF・AWD(グレードにより選択可) |
エルグランドは電動駆動のe-4ORCEを全車標準の4WDとして採用する点が特徴で、静粛性と力強い走りを重視するユーザーに向いています。一方でアルファードはグレード数が多く、PHEVからガソリンまで幅の広い選択肢を提供している点が強みで、予算や用途に応じて選びやすいのが魅力です。長年「アルヴェル」の対抗馬として苦戦してきたエルグランドですが、今回のフルモデルチェンジで電動化と先進運転支援を武器に、久々の本格対決に挑む構図となっています。


日産 エルグランドの主要スペック
| 項目 | X e-4ORCE | G e-4ORCE |
|---|---|---|
| 全長 | 4995mm | 4995mm |
| 全幅 | 1895mm | 1895mm |
| 全高 | 1975mm | 1970mm |
| ホイールベース | 3165mm | 3165mm |
| 車両重量 | 2430kg | 2440kg |
| 乗車定員 | 7名 | 7名 |
| エンジン | ZR15DDTe 直列3気筒1.5L ターボ 103kW/140PS | 同上 |
| フロントモーター | YM52 151kW/205PS | 同上 |
| リヤモーター | MM45 100kW/136PS | 同上 |
| WLTCモード燃費 | 16.8km/L | 16.8km/L |
| タイヤサイズ | 235/60R18 | 235/60R18 |
| 価格 | 689万7000円 | 757万9000円 |

まとめ
日産 エルグランドは約16年ぶりの全面刷新を経て、第3世代e-POWERと進化したe-4ORCEを核とした新世代のプレミアムミニバンとして生まれ変わりました。伝統工芸をモチーフにした先進的なデザインや、プライベートラウンジのような上質な室内空間、そして充実した運転支援システムを備えたことで、長年のライバルであるアルファードに対しても十分に対抗しうる存在感を放っています。価格は689万円台からとやや高めですが、電動パワートレインならではの静粛性と力強い走りを求めるユーザーにとっては魅力的な選択肢となるでしょう。



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