チューリング、東京の難所を走るE2E自動運転動画を公開|約40分のノーカット映像

チューリングのE2E自動運転による東京都心の走行場面と、車内の田中大介COO、山本一成CEOを組み合わせた公式動画サムネイル

チューリングは2026年9月30日、東京の都心を走行する「【約40分ノーカット】東京の難所を走るE2E自動運転」を公式YouTubeで公開しました。皇居周辺の多車線道路から首都高まで、AIが直面する運転の難しさを紹介しています。公道走行は、運転席のドライバーが周囲を常に監視し、必要時にすぐ運転を引き継げる状態で行っています。

皇居周辺から首都高へ、都心走行の見どころ

動画の長さは41分10秒です。運転席にはCOOの田中大介氏、助手席にはCEOの山本一成氏が乗り、走行中の場面を通じて運転技術やAI開発を語っています。

公式に「都心エンジョイコース」と紹介するルートには、車線選びや高速道路への進入など、日常の運転でも判断が重なる場面が含まれます。気になる箇所は、次のチャプターから確認できます。

開始時刻主な内容
11:01カメラとLiDARの考え方、皇居周辺の多車線道路
15:52霞が関から首都高への進入、一般道と高速道路を同じモデルで走る話
19:567つのカメラによる360度の視界、雨への対応
23:07複数の信号の中から、自分の進路に対応する信号を見分ける話
29:16E2Eと視覚言語モデルの組み合わせ、Navigator-Driverモデルの考え方
33:22想定外の状況への対応
40:14前方車両に合わせた自然な加減速

皇居周辺では、5〜6車線の中から進路を選ぶ場面が紹介されています。車線の数が多い場所では、自分が向かう方向と周囲の車の動きを踏まえ、どの車線を走るかを判断する必要があります。信号がいくつも並ぶ交差点では、信号を見つけることに加え、自車が従うべき信号を見分けることも課題になります。

また、一般道と高速道路を同じモデルで走るという説明は、道路環境が変わるときにAIがどう対応するかを考える材料になります。動画は、操舵だけでなく、進路選びや車間距離、加減速を含めた運転の判断に目を向けられる構成です。

なお、約40分という数字は公開映像の長さを指します。今回の動画説明欄では、全編の介入回数や、介入なしで連続走行した時間は明示されていません。

E2E自動運転とは――カメラ映像から運転判断を学ぶ仕組み

E2Eは「End-to-End」の略です。チューリングは、カメラ画像を入力し、単一のニューラルネットワークが運転判断を行うアプローチとして説明しています。周囲の映像をもとに、車をどう動かすかをAIが学習する考え方です。

同社の技術解説では、認識・予測・走行計画などを個別の処理として組み合わせる構成と、E2Eの考え方を比較しています。たとえば、他車とすれ違うときに間隔をどう取るか、歩行者の動きを見ながらいつ進むかといった判断も、運転データから学ぶ対象になります。

こうした判断には、人がすべてを言葉や規則で説明しにくい部分があります。今回の動画でも、言葉にしづらい運転の技術が話題になっています。視聴するときは、単に車が進めたかに加え、周囲の交通の流れに対してどのような進路や速度を選んでいるかに注目すると、開発の狙いを理解しやすくなります。

E2Eという言葉はAIの構成や学習方法を示します。実際に人がどの範囲を監視するか、どの条件で運転できるかは、個々のシステムと運用条件の確認が必要です。今回の公道走行にも、運転席のドライバーによる監視と即時の引き継ぎを前提とする条件があります。

Tokyo30達成後にチューリングが掲げた開発目標

チューリングは、東京都心の公道を30分以上、人がハンドル・アクセル・ブレーキに介入せず連続走行する「Tokyo30」を2025年11月に達成したと説明しています。これは今回の9月公開動画に先立つ開発実績です。

チューリングは2026年2月10日公開の公式テックトークで、当時の2026年の目標として、より複雑な都内で安定して30分の無介入走行を実現すること、ナビゲーションとの連携を安定させること、周囲の車とのやり取りを自然にすることを挙げました。

この経緯を踏まえると、今回の都心走行を見るうえでは、走行時間だけでなく、環境が変わっても判断を安定して続けられるかという点が焦点になります。2月時点の目標が、その後どこまで進んだかは動画内で明らかにされていません。同じ交差点でも、時間帯によって交通量や歩行者の動きは変わります。ある場面を走れたことを、幅広い条件で繰り返し確認する開発が求められます。

同社はテックトークで、モデルの改善を支える仕組みも説明しています。走行データを集め、学習し、車両に搭載して走行実験を行い、その結果を次の学習へ戻す流れです。さらに、シミュレーションを用いた評価にも取り組んでいます。AIモデルに加え、車両制御と評価を含めて改善を続ける体制が、開発を進める土台になっています。

Tokyo30の達成時期と、今回の動画の公開日は異なります。今回の映像を、Tokyo30と同じコース・条件での記録として扱うことや、映像の長さだけで無介入走行の実績を更新したと判断することはできません。

スバル・デンソーとの共同研究へ広がる開発

実車での開発を進める動きとして、チューリングは2026年6月4日、スバルおよびデンソーとの共同研究を発表しています。研究の内容は、それぞれ次のように分かれます。

相手企業共同研究の内容
スバル軽量化したE2Eモデルと車両制御システムの統合、将来の公道実証を見据えた研究
デンソー視覚言語モデルなどをもとに、カメラ情報から言語的・時空間的な理解を得るフィジカル基盤モデルの開発と実車両への適合

ここでいうフィジカル基盤モデルは、現実の道路や周囲の状況を理解するためのAIモデルです。発表では、AIの研究開発から実車への実装、走行環境での検証、得られたデータによる改善までをつなぐ体制を目指しています。

この共同研究は、今回の動画とは別に発表された取り組みです。動画の走行車両に共同研究の成果を搭載したかどうかは、今回の説明では示されていません。

自動車メーカーがAIを取り入れる動きでは、日産とウェイブによる次世代プロパイロットの協業もあります。こちらは量産車向けの運転支援システムを目指す案件です。チューリングが掲げる完全自動運転の開発とは、製品化の対象や目標をそれぞれ確認する必要があります。

日産、次世代プロパイロットに自動運転AI技術搭載|英Wayveと協業で2027年度 日本販売へ
2025年12月10日、日産自動車は英国のAIスタートアップ企業Wayve(ウェイブ)社と、次世代運転支援システム「プロパイロット」の開発における協業契約を締結したと発表しました。この提携により、Wayveの先進的なエンボディドAI技術と日…

車を買う・乗る人にとっての意味

今回の動画には、一般ユーザーが購入できる車種や発売時期、サービスを利用できる時期・条件の案内はありません。現時点では、自動運転技術がどのような道路場面に取り組んでいるかを知る材料です。

購入判断につながる発表が出たときには、対応する道路や天候、ドライバーに求められる監視・操作、利用開始の時期といった条件を確認することになります。今回は、公道で人が周囲を監視し、必要時に運転を引き継げる状態で行う開発走行として受け止めるのが適切です。

まとめ

チューリングが公開した約40分のノーカット映像は、多車線道路、交差点、首都高など、都心の運転で重なる判断を紹介しています。Tokyo30達成後に同社が2026年の目標として掲げた安定性やナビ連携、車両制御・評価を含む開発の経緯と合わせて見ることで、E2E自動運転が取り組む内容を理解しやすくなります。

市販車への搭載や一般向けの利用開始時期は、今回の動画では示されていません。今後の発表では、走行できる条件と、人に求められる役割がどこまで具体化するかが、利用する側の判断材料になります。

技術開発の背景は、チューリングの技術実績に関する公式FAQと、スバル・デンソーとの共同研究発表で確認できます。

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