日産自動車は2026年7月22日、新型「日産リーフ」をベースとする高性能モデル、日産リーフ NISMOを発表し、同日から販売を開始しました。
日産リーフ NISMOは、「駿足のインテリジェント スポーツクロスオーバー」をコンセプトに開発されたNISMOロードカーです。モーターの出力だけを追求するのではなく、サスペンション、空力パーツ、タイヤ、ホイール、ドライブモード、回生ブレーキ制御などを総合的にチューニングし、車体の大きさや重量を感じさせない軽快な走りを目指しています。
ラインアップは、55kWh級バッテリーを搭載するB5 NISMO、78kWh級のB7 NISMO、専用RECARO製スポーツシートを備えるB7 NISMO RECARO装着車の3種類です。価格は660万1,100円から722万7,000円に設定されています。

車の概要:日産リーフ NISMOとは?
日産リーフは、日産を代表する量産電気自動車です。初代モデルは2010年12月に発売され、2017年10月にはデザイン、航続性能、先進運転支援技術などを進化させた2代目へフルモデルチェンジしました。日産リーフ NISMOは、その2代目をベースとして2018年7月に初めて設定されています。
2026年1月に日本市場へ投入された3代目の日産リーフは、新世代EVプラットフォームを採用するとともに、従来のハッチバックに近いスタイルからクロスオーバーEVへと方向転換しました。2010年の初代登場からの世界累計販売台数は、約70万台に達しています。
今回の日産リーフ NISMOは、この3代目をベースとしたNISMOモデルです。ベース車としては3代目、日産リーフ NISMOの系譜としては2018年のモデルに続く2世代目に相当します。
日産が長年培ってきたEV技術に、NISMOのモータースポーツ由来の知見を組み合わせ、「より速く、気持ち良く、安心して走れるクルマ」というNISMOロードカー共通の開発思想を反映しています。

日産リーフ NISMOのエクステリアデザイン
日産リーフ NISMOのエクステリアは、単に外観を派手にするのではなく、空力性能と走行安定性を高めることを目的に設計されています。
フロントバンパーの左右には、エアガイドとして機能するNISMO専用コーナーフィニッシャーを装備しました。2枚の整流板によってフロントから流れてきた空気を整え、ボディサイドへ滑らかに送り込むことで空気抵抗を抑えています。
ボディ側面には、三角形の断面形状を持つ専用ドアロアフィニッシャーを採用しました。フロントで整えられた気流を受け、底面に発生する負圧によって車体の浮き上がりを抑える構造です。見た目の低重心感を強めるだけでなく、実際のダウンフォース向上にも貢献します。

リヤバンパーには、底面を地面側へ張り出させた船底型のアンダースポイラーを組み込んでいます。さらに、標準モデルより後方かつ上方へ延長したダックテール形状のバックドアスポイラーを装着しました。車体後方の空気抵抗を抑えながら、リヤのダウンフォースを強化しています。これらの専用パーツにより、標準モデルの空気抵抗性能を悪化させることなく、走行安定性を高めました。
NISMOの象徴となるレッドアクセントには「アルテリアマグマ」を使用しています。フロント、サイド、リヤへ連続するように配置され、グロスブラック仕上げのドアミラーにもレッドラインが加えられました。

足元には、エンケイ製のNISMO専用19インチアルミホイールを装着します。タイヤは235/45ZR19サイズのミシュラン Pilot Sport 5です。幅広のスポーツタイヤと低重心なエアロパーツによって、クロスオーバーでありながら引き締まったプロポーションに仕上げられています。
ボディカラーは標準モデル由来の4種類に、NISMOロードカー専用色となるNISMOステルスグレーの2種類を加えた全6種類です。
プロパイロット2.0を装着した一部仕様では全高が1,565mmとなります。日産リーフ NISMOのボディサイズは、全長4,415mm、全幅1,810mm、全高1,550mmです。




日産リーフ NISMOのインテリアデザイン
日産リーフ NISMOのインテリアは、ブラックを基調とした落ち着きのある空間に、NISMOを象徴するレッドを組み合わせています。
インストルメントパネル周辺のフィニッシャー、パワーメーター、パワースイッチ、ドライブモードセレクターには専用部品を採用しました。ピアノブラック仕上げのフィニッシャーやNISMOエンブレムによって、標準モデルとの差別化が図られています。
ステアリングホイールには、高い耐久性とナッパレザーに近い触感を両立した合成皮革素材「テーラーフィット」を使用しています。上部にはステアリングの向きを直感的に確認できるレッドセンターマークを配置し、縫製にもレッドステッチを採用しました。

標準タイプの前席には、レッドパーフォレーション、レッドステッチ、NISMOロゴの刺しゅうが施されたブラックテーラーフィットシートを装備します。グレードによってはヘッドレスト部分にBOSEスピーカーが組み込まれ、運転席と助手席の乗員へ音を直接届ける構成です。
最上位のB7 NISMO RECARO装着車には、NISMO専用チューニングを施したRECARO製スポーツシートが装着されます。表皮にはレザーとアルカンターラを組み合わせ、肩まわりや腰まわりのホールド性を高めました。

一般的な競技志向のスポーツシートとは異なり、無段階で調整できるパワーリクライニング機能も備えています。ワインディングで身体を確実に支えながら、日常走行や長距離移動でも自然なドライビングポジションを取りやすい仕様です。
全体としては、大型ディスプレイなど3代目日産リーフの先進的なインターフェースを生かしつつ、操作部やシート、ステアリングをNISMO専用に仕立てています。派手な装飾を増やすよりも、ドライバーが運転へ集中しやすい機能的なスポーツインテリアといえるでしょう。

日産リーフ NISMOの走行性能
日産リーフ NISMOは、モーターの最高出力を大幅に引き上げるのではなく、加減速特性、シャシー、タイヤ、空力性能を一体でチューニングしています。
B5 NISMOのモーターは最高出力130kW、最大トルク345Nm、B7 NISMOとB7 NISMO RECARO装着車は最高出力160kW、最大トルク355Nmです。B5は約177PS、B7は約218PSに相当します。
サスペンションでは、前後のスプリングとスタビライザーを強化したほか、メンバーブッシュの一部をNISMO専用品へ変更しています。サスペンション全体の剛性を高めることで、ステアリングを切った際の反応を明確にしました。
ショックアブソーバーには、カヤバ製のスウィングバルブ付きタイプを採用しています。小さな入力に対して滑らかに動きながら、大きく素早い入力に対しては適度な減衰力を発生させる構造です。コーナリング初期のロールや、うねった路面を走った際のピッチングを抑え、ワインディングでのライントレース性と日常走行の乗り心地を両立させています。
タイヤにはミシュラン Pilot Sport 5を採用しました。ドライ路面だけでなく、雨天時のグリップ性能や転がり抵抗も考慮されたスポーツタイヤです。

組み合わされるエンケイ製19インチアルミホイールは、標準車用ホイールよりリム幅を0.5インチ拡大しています。一方で、エンケイ独自のMAT製法により、標準車比で1本当たり約1kgの軽量化を実現しました。ばね下重量を抑えながら、タイヤの性能を引き出す設計です。
ドライブモードは、日産リーフに用意されるSTANDARD、ECO、SPORT、PERSONALのうち、STANDARD、ECO、SPORTをNISMO専用に調整しています。SPORTモードは「NISMOモード」へ置き換えられ、モーターの素早い応答と、力強く伸びていく加速感を強調しました。
さらに、EVのNISMOロードカーとして初めて、回生ブレーキコントロールパドルを採用しています。Lv.1では標準モデルより減速力を弱めて滑走感を高め、Lv.2からLv.4では減速力を強化しました。コーナー進入前にパドルで回生量を調整するなど、アクセルとブレーキだけではないEV独自のスポーツドライビングを楽しめます。

日産リーフ NISMOの安全性能・運転支援
日産リーフ NISMOには、3代目日産リーフに用意される「360°セーフティアシスト」を中心とした安全装備と運転支援システムが設定されます。装備内容はグレードやメーカーオプションによって異なります。
プロパイロットは、高速道路や自動車専用道路で先行車との車間距離を保ち、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作を支援します。白線を検知して車線中央付近の走行を支援するため、渋滞や長距離巡航におけるドライバーの負担軽減が期待できます。
一部仕様に設定されるプロパイロット2.0は、3D高精度地図データや車載センサーを使用し、条件を満たした高速道路の同一車線内でハンズオフ走行を可能にします。先行車を追い越す際の車線変更や、ウインカー操作に応じた車線変更時のステアリング操作も支援します。
ただし、日産リーフのプロパイロット2.0には、ナビゲーションで設定したルートに応じて車線変更を提案するルート走行支援機能は用意されていません。また、自動運転システムではないため、ドライバーには常に周囲を確認し、安全に運転する責任があります。
衝突被害軽減ブレーキとして、インテリジェント エマージェンシーブレーキも設定されています。ミリ波レーダーとフロントカメラを利用し、前方の車両、歩行者、自転車などを検知します。
そのほか、2台前を走る車両の急減速を検知するインテリジェントFCW、後側方の車両を検知するBSW、後退時に左右から近づく車両を知らせるRCTA、車線逸脱警報のLDW、車線内へ戻す操作を支援するインテリジェントLIなどが用意されています。

日産リーフ NISMOの価格
日産リーフ NISMOの価格は660万1,100円からです。
| 駆動方式 | グレード | 価格 |
|---|---|---|
| 2WD | B5 NISMO | 660万1,100円 |
| 2WD | B7 NISMO | 695万2,000円 |
| 2WD | B7 NISMO RECARO装着車 | 722万7,000円 |
全車が2WDとなり、電動4WDシステムのe-4ORCE搭載モデルは設定されていません。
通常モデルのB5 Gは564万8,500円、B7 Gは599万9,400円です。日産リーフ NISMOは、それぞれのGグレードに対して95万2,600円高い価格設定となっています。この差額には、専用エアロパーツ、19インチホイール、スポーツタイヤ、専用サスペンション、専用内装、ドライブモードや回生ブレーキのチューニングなどが含まれます。
なお、日産リーフ NISMOは持ち込み登録車となり、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社が取り扱います。車両価格には、消費税以外の税金、自賠責保険料、登録費用、販売諸費用、メーカーオプション、ディーラーオプションなどは含まれていません。
日産リーフ NISMOの発売時期
日産リーフ NISMOは、2026年7月22日に発表され、同日から発売されました。発表から販売開始までの待機期間は設けられておらず、すでに日産販売店を通じて購入できます。
ただし、ボディカラー、メーカーオプション、RECARO製スポーツシート装着車など、選択する仕様によって納期が異なる可能性があります。特に2トーンボディカラーは、通常のボディカラーより納期が長くなる場合があると案内されています。
日産リーフ NISMOの日本発売
日産リーフ NISMOは、日本市場で正式に発売されています。
今回発表された価格は日本全国での希望小売価格であり、B5 NISMO、B7 NISMO、B7 NISMO RECARO装着車の3グレードが国内向けに用意されます。
日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社の取り扱い車両ですが、購入や点検などは全国の日産販売会社を通じて行う形となります。海外導入については、今回の日本向け発表資料では明らかにされていません。
日産リーフ NISMOの辛口評価
日産リーフ NISMOをあえて辛口で評価します。
最も気になるのは、660万1,100円から722万7,000円という価格です。専用サスペンションや空力パーツ、スポーツタイヤなどの内容は充実していますが、通常モデルのGグレードから約95万円高くなります。B7 NISMO RECARO装着車では700万円を超えるため、輸入車を含む高性能EVも購入候補に入ってきます。
また、モーターの最高出力と最大トルクは、同じB5、B7の標準モデルと同じ数値です。NISMOモードによってアクセルレスポンスや加速感は変えられていますが、絶対的な出力向上を期待している人には物足りなく感じられる可能性があります。
駆動方式が2WDに限定されている点も弱点です。車重はB5 NISMOでも1,820kg、B7 NISMOでは1,920kgに達します。NISMO専用シャシーによって軽快さを引き出しているとはいえ、重量そのものが消えるわけではありません。雨天時の発進性能やコーナー脱出時のトラクションでは、高出力な電動4WDのライバルが有利です。
さらに、日産リーフ NISMOは持ち込み登録車となるため、一充電走行距離の公式数値が公表されていません。標準モデルと同じバッテリーを使用していても、幅広のスポーツタイヤや専用エアロパーツが電費へ影響する可能性があります。購入前に航続性能を数値で比較しにくい点は、EVとして無視できない問題です。
19インチのミシュラン Pilot Sport 5は操縦性を高める一方、タイヤ交換費用、ロードノイズ、低速域での乗り心地などでは不利になる可能性があります。維持費を重視する人にとって、通常の日産リーフより負担が大きくなることは避けられません。
一方、日産リーフ NISMOの価値は、単純な最高出力ではなく、ステアリングを操作したときの反応、車体の動き、回生ブレーキの調整幅、シートのホールド性などにあります。カタログ上の加速性能だけでなく、運転操作に対する車両の反応を重視する人に向けたモデルと考えるべきでしょう。
日産リーフ NISMOのライバル車
日産リーフ NISMOのライバルとして、まず挙げられるのがMINI JOHN COOPER WORKS ACEMAN Eです。
MINI JOHN COOPER WORKS ACEMAN Eは、コンパクトクロスオーバー型の高性能EVで、価格は645万円です。日産リーフ NISMOと近い価格帯にあり、ボディサイズを抑えながらスポーティなデザインと走行性能を楽しめる点も共通しています。日産リーフ NISMOより個性的でコンパクトな車体を求める人にとって、有力な比較対象です。
テスラ Model 3 パフォーマンスもライバルとなります。価格は725万9,000円で、B7 NISMO RECARO装着車と近い水準です。セダンボディではあるものの、デュアルモーターAWDによる強力な加速性能を備えており、絶対的な速さや航続性能を優先する場合は強力な選択肢となります。
さらに高性能を求める場合は、ヒョンデ IONIQ 5 Nが候補になります。価格は891万円と日産リーフ NISMOより高額ですが、専用の高性能電動パワートレインやシャシー制御を備え、本格的なサーキット走行まで想定されています。
日産リーフ NISMOは、IONIQ 5 Nほど極端な性能を追求せず、日本の一般道やワインディング、日常の移動で扱いやすいスポーツEVという立ち位置です。

日産リーフ NISMOの主要スペック
| 項目 | B5 NISMO | B7 NISMO | B7 NISMO RECARO装着車 |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 2WD | 2WD | 2WD |
| バッテリー容量 | 55kWh | 78kWh | 78kWh |
| 全長 | 4,415mm | 4,415mm | 4,415mm |
| 全幅 | 1,810mm | 1,810mm | 1,810mm |
| 全高 | 1,550mm | 1,550mm | 1,550mm |
| プロパイロット2.0装着時の全高 | - | 1,565mm | 1,565mm |
| ホイールベース | 2,690mm | 2,690mm | 2,690mm |
| 最低地上高 | 135mm | 135mm | 135mm |
| 車両重量 | 1,820kg | 1,920kg | 1,900kg |
| モーター最高出力 | 130kW | 160kW | 160kW |
| モーター最大トルク | 345Nm | 355Nm | 355Nm |
| パワーウェイトレシオ | 14.0kg/kW | 12.0kg/kW | 11.9kg/kW |
| タイヤサイズ | 235/45ZR19 | 235/45ZR19 | 235/45ZR19 |
| ホイールサイズ | 19×8.0J | 19×8.0J | 19×8.0J |
| 一充電走行距離 | 未公表 | 未公表 | 未公表 |
| 価格 | 660万1,100円 | 695万2,000円 | 722万7,000円 |
B5とB7のバッテリー容量は、それぞれのベースモデルに設定される55kWh、78kWhです。日産リーフ NISMOは持ち込み登録車となるため、WLTCモードの一充電走行距離は公表されていません。
日産リーフ NISMOのまとめ
日産リーフ NISMOは、3代目日産リーフのEV性能とクロスオーバースタイルに、NISMOのシャシー技術や空力技術を組み合わせた高性能モデルです。
専用サスペンション、ミシュラン Pilot Sport 5、軽量なエンケイ製19インチホイール、NISMOモード、回生ブレーキコントロールパドルなどにより、最高出力の数字だけでは表せない操縦性と一体感を追求しています。
価格は660万1,100円からと安くありませんが、日常的に使用できるEVの実用性を残しながら、ワインディングでも積極的に運転を楽しみたい人に適した一台です。航続距離が公表されていない点や2WDのみとなる点を理解したうえで、通常の日産リーフとの走りの違いを実車で確かめたいモデルです。



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