2026年6月、BMWはプレミアムSUVの代名詞とも言えるBMW X5の第5世代モデルを正式発表しました。
今回の新型は、ガソリン・ディーゼルといった従来のパワートレインに加え、プラグインハイブリッド、完全電気自動車、そして将来的には水素燃料電池車という5種類もの駆動システムを揃えた、BMW史上初のモデルとなります。 デジタル技術の刷新、走行性能の向上、そしてサステナビリティへの深いコミットメントを兼ね備えた意欲作です。

車の概要:BMW X5とは?
BMW X5は、1999年に誕生したBMWブランド初のスポーツ・アクティビティ・ビークル(SAV)として、BMWのXファミリー全体の礎を築いたモデルです。 生産開始当初からアメリカ・サウスカロライナ州のBMWグループ・プラント・スパルタンバーグで製造されており、四半世紀以上にわたってそのDNAを受け継いでいます。
2006年に第2世代、2013年に第3世代、2018年に第4世代へと進化を遂げてきた本モデルは、各世代でエンジン拡充や空力改善、電動化技術の導入を積み重ねてきました。 特筆すべきは2015年の第3世代時代に「X5 xDrive40e iPerformance」として、BMW量産車初のプラグインハイブリッドを搭載したことです。
そして今回登場した第5世代の新型BMW X5は、マルチドライブシステム戦略の象徴として、シリーズ史上初めて完全電気自動車モデル「iX5」をラインアップに加えました。 2026年8月よりスパルタンバーグ工場での生産が開始される予定です。

BMW X5のエクステリアデザイン
新世代X5のエクステリアは「モノリシック(一枚岩的)」というキーワードで表現される、力強く存在感のあるデザインに生まれ変わりました。 垂直に立ち上がったBMWキドニーグリルは「アイコニック・グロー」と名付けられ、ダイナミックなライトシグネチャーとともに、X5の顔つきをよりワイルドかつ上品に演出しています。

ヘッドライトには新しい「ダブルXライトアイコン」を採用したアダプティブLEDを搭載。デイタイムランニングライトはもちろん、ロービームやウインカーまでもがXの字のグラフィックに統合されており、昼夜を問わずひと目でBMW X5と分かる個性を放ちます。 さらに、乗車前後を演出するダイナミックな「ウェルカム・グッドバイシーケンス」も備わっています。


サイドビューでは、従来のドアハンドルに代わって「BMWウィングレット」を採用。これにより、サイドの面をスッキリとした印象にまとめ上げ、ひときわクリーンで彫刻的なシルエットを実現しています。 スポーツライン頂点に立つX5 M60e xDriveには、BMWのMイエローライトをダブルXスタイルで採用し、4本出しマフラーや22インチホイールなどMらしい専用装備が与えられます。

ボディカラーは全11色(うち4色はBMW Individual)が用意され、ホイールは標準の21インチから新たに設定された23インチまでから選択可能です。

BMW X5のボディサイズは、全長4,994mm、全幅2,000mm、全高1,748〜1,751mm(グレードにより異なる)です。





BMW X5のインテリアデザイン
エクステリアの存在感に負けず劣らず、インテリアも大きく刷新されました。水平基調のレイアウトを採用したコックピットは、包み込まれるような「ラップアラウンド効果」を演出しており、広さと高級感を同時に感じさせます。
素材の選定にも抜かりはありません。BMWとして初めて採用したスレート(粘板岩)をはじめ、ガラスをあしらったアクセントやドア・ダッシュボードのXステッチなど、自然素材と先進素材を組み合わせることで上質なアンビエンスを作り出しています。 シートは標準のスポーツシートから、シートベンチレーションとマッサージ機能を備えた上位のマルチファンクションシートまで選択可能。表皮にはサステナブルなビーガン素材「Veganza」が基本で、オプションでBMW Individualのメリノレザーによるインテリアデザインにアップグレードすることもできます。

新機能として注目を集めるのが「BMWパッセンジャースクリーン」の初搭載です。 フロントパッセンジャー専用に設計された14.6インチのフルHDタッチディスプレイで、動画ストリーミング、テレビ番組、ゲーム、音楽、ビデオ通話などのエンターテインメントに走行中でもアクセスできます。 ドライバーの注意が散漫になった際は、インテリアカメラが検知し自動的に画面が暗くなる「視認シールド機能」も搭載されており、安全性にも配慮されています。

ディスプレイシステム全体は「BMW Panoramic iDrive」という統合コンセプトで構成されています。 フロントウインドシールド下部全面に情報を映し出す「BMWパノラミックビジョン」、立体的な空間知覚を実現する「BMW 3D ヘッドアップディスプレイ」、そして高解像度の17.9インチセンターディスプレイが連携し、直感的で未来的な操作体験を提供します。
マルチファンクションステアリングホイールには「shy tech」機能が搭載され、使用時のみコントロールパネルが光る仕組みになっています。 また、乗降時の利便性を高めるオートマチックドアや、標準装備のソフトクローズ機能など、ラグジュアリーカーとしての質感にも徹底してこだわっています。 標準装備のラージパノラミックサンルーフが、インテリアに開放的な光と空気感をもたらします。






BMW X5の走行性能
第5世代となる新型BMW X5は、パワートレインのバリエーションがこれまで以上に豊かになりました。 ガソリン・マイルドハイブリッドの「X5 40 xDrive」は最高出力294kW(400ps)、ディーゼル・マイルドハイブリッドの「X5 40d xDrive」は最高出力230kW(313ps)を発揮し、どちらも8速Steptronic変速機と電動xDriveを組み合わせています。
プラグインハイブリッドモデルも2種類が揃います。「X5 50e xDrive」はシステム出力360kW(489ps)でWLTP電気走行距離は最大102km。上位の「X5 M60e xDrive」はシステム出力450kW(612ps)・システムトルク800Nmという圧巻の数値を持ちながら、電気のみで最大98km走行可能です。 両モデルの0-100km/h加速はそれぞれ5.0秒・4.5秒です。
完全電気自動車の「iX5 60 xDrive」は、第6世代BMW eDriveテクノロジー(Gen6)を採用した800Vシステムで、最高出力425kW(578ps)・最大トルク805Nmを発揮します。 141kWhの大容量バッテリーにより、WLTPでの最大航続距離は845kmに達し、最大460kWの急速充電にも対応しています。

シャシー面では、アダプティブサスペンションが標準装備され、ほぼ50:50の前後重量配分が快適かつ安心感のある走りを実現します。 オプションの「アダプティブシャシーコントロール」を選択すると、インテグラルアクティブステアリングが加わり、後輪が最大3.2度まで旋回し、回転半径が約0.8m短縮されます。 電動・PHEVモデル向けの最上位オプション「アダプティブシャシーコントロール・プロフェッショナル」はロールスタビライゼーションも備え、走りとコンフォートの究極的なバランスを追求しています。

BMW X5の安全性能・運転支援
BMW X5は「Driving Assistant Plus」を標準装備し、アクティブクルーズコントロール・車間距離制御・車線維持支援が最初から使えます。 オプションの「モーターウェイ&シティアシスタント」は、高速道路上での時速130kmまでのハンズフリー走行(視線確認による自動車線変更含む)から、市街地での「アドレス to アドレス」走行支援まで、SAEレベル2の高度な運転支援を実現します。
注目の新技術「BMW Symbiotic Drive」は、システムが作動中であってもドライバーが自分のスタイルでアクセル・ステアリング・ブレーキを操作できる仕組みで、人間と機械の自然な協調を実現します。 アクティブセーフティ面では、回避アシスト付き緊急ブレーキアシスト、サイドコリジョンウォーニング(ステアリング介入あり)、ドア開時の危険感知による開放制限機能、交差点での自動緊急ブレーキ対応クロスシングトラフィックウォーニングなどが標準装備されています。
駐車支援では、AI搭載のパークアシストが標準で付き、スマートフォンアプリ経由でリモートコントロールできるパーキングアシスタント・プロフェッショナルもオプションで選択できます。 BMW iX5 60 xDriveとiX5 Hydrogenには、ジャーク(急激な加減速)のない滑らかな回生ブレーキ停車を実現する「BMW ソフトストップ」も搭載されます。

BMW X5の価格
BMW X5の現行モデル(第4世代)の日本国内価格は、エントリーグレード「xDrive40d M Sport original」が1,298万円から、標準グレード「xDrive40d M Sport」が1,373万円、特別仕様車「xDrive40d Final Edition」が1,398万円、そしてM60i xDriveが1,597万円となっています。
第5世代の新型BMW X5の日本市場向け価格はまだ正式に発表されていません。現行世代と同様、エントリーモデルが1,300〜1,400万円台、PHEVモデルはそれ以上、電動モデルのiX5は2,000万円前後以上となる可能性があります。装備の充実や電動化対応コストも踏まえると、価格帯は現行より引き上げられる見込みです。

BMW X5の発売時期
グローバルの生産開始は2026年8月のBMWグループ・プラント・スパルタンバーグ(米国)を予定しており、ガソリン・ディーゼルモデルの欧州市場での発売は2026年11月28日に設定されています。 バッテリーEVとPHEVは2026年10月8日より注文受付が始まり、2027年初頭に発売される予定です。
BMW X5は日本で発売されるか
現行BMW X5は日本市場でも正規販売されており、新型も日本への導入は確実視されています。 欧州発表から日本市場への導入は通常6か月〜1年程度のタイムラグがあることから、新型BMW X5の日本発売は2027年〜2028年モデルになる見通しです。 導入されるグレードやEV・PHEVモデルの展開については、今後のBMWジャパンからの正式発表を待つ必要があります。

BMW X5をあえて辛口で評価します
BMW X5をあえて辛口で評価します。まず車両価格については、現行モデルですでに1,300万円を超えるエントリー価格となっており、新型ではさらなる値上がりが想定されます。 装備が充実するほど価格が跳ね上がる構造は、維持費やオプション費用も含めると、日本のユーザーにはなかなかの覚悟が必要です。
次に車体サイズ。全長約5メートル・全幅2メートルというボディは、都市部の立体駐車場や狭い道での取り回しが容易ではありません。 また、iX5の車両重量が2,900kgに達することも気になるポイントです。 EV化による重量増は避けられないとはいえ、日本の道路事情やタイヤコストへの影響は無視できません。
さらに、ライバルであるメルセデス・ベンツ EQE SUVやポルシェ・カイエンEなど競合が続々と電動化を進める中、水素モデルの「iX5 Hydrogen」の量産化がまだ「後日公開予定」にとどまっている点も気になります。 技術の先進性は称賛できますが、実際に手が届く存在になるまでの道筋は、まだ見えていません。

BMW X5のライバル車
新型BMW X5が戦う相手として代表的なモデルを以下の表にまとめます。
| モデル | 駆動方式 | 特徴 |
|---|---|---|
| メルセデス・ベンツ GLE | ICE・PHEV・EV | 高級感と快適性に強み |
| ポルシェ カイエン | ICE・PHEV | スポーツ性能と実用性の高バランス |
| アウディ Q7/Q8 | ICE・PHEV | 先進技術と四輪駆動技術のクアトロ |
| ランドローバー レンジローバー | ICE・PHEV | オフロード性能と英国的ラグジュアリー |
| レクサス RX | ICE・HEV・PHEV | 日本製プレミアムSUVの信頼性 |

BMW X5 主要スペック
| 項目 | X5 40 xDrive | X5 40d xDrive | X5 50e xDrive | X5 M60e xDrive | iX5 60 xDrive |
|---|---|---|---|---|---|
| 駆動方式 | ガソリン MHEV | ディーゼル MHEV | PHEV | PHEV | 完全EV |
| 最高出力 | 294kW(400ps) | 230kW(313ps) | 360kW(489ps) | 450kW(612ps) | 425kW(578ps) |
| 最大トルク | 580Nm | 670Nm | 700Nm | 800Nm | 805Nm |
| 0-100km/h | 5.3秒 | 6.1秒 | 5.0秒 | 4.5秒 | 4.6秒 |
| 最高速度 | 250km/h | 230km/h | 250km/h | 250km/h | 210km/h |
| 航続/EV走行距離 | — | — | 最大102km | 最大98km | 最大845km |
| 全長×全幅×全高 | 4,994×2,000×1,751mm | 同左 | 同左 | 4,998×2,000×1,751mm | 4,994×2,000×1,748mm |
| ホイールベース | 3,035mm | 3,035mm | 3,035mm | 3,035mm | 3,035mm |

まとめ
新型BMW X5は、25年以上のプレミアムSAVとしての歴史を礎にしながら、第5世代で電動化・デジタル化・サステナビリティという3つの大きな変革を一気に体現した意欲的なモデルです。 ガソリンからEV、そして将来的には水素燃料電池まで5種類のパワートレインを揃えるという戦略は、まさに「テクノロジーに縛られない多様性」の象徴といえます。BMW Panoramic iDriveによる没入感のあるデジタル体験や、BMW Symbiotic Driveによる先進的な運転支援も加わり、プレミアムSUVの新たな基準を打ち立てようとしています。 日本市場への導入は2027年以降が見込まれており、今後の正式発表が楽しみです。



コメント